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だが、少女はやっとそこで気づく。
黒く輝く銃が混乱と戸惑いで凍りついた頭に煮えたぎった業火を注ぐ。
──愛銃が教えてくれた。
少女はそっと目を上げ、少年を見据える。
先程までの底が覗けそうな海の瞳はそこになかった。
代わりにあったのは油絵の具で塗り潰したような青だった。
虚さは消え、そこには明確な恐怖心と警戒心が芽吹いていた。
少年を見た途端ようやく理解できた。
普段冷めている銃が荒っぽくなっている理由がやっとわかった。
銃が教えてくれたのだ。
今、目の前にいる少年は
自分が、自分達が探し求めていた標的だと。
「貴方が、私達のターゲットだったんですね」
少女の眼から躊躇いの光は消えていた。
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