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だが、リミアは違う。
人間が痛がり苦痛に歪む顔を見て楽しむような輩ではないが、抵抗しないのならその方が楽ではないか、と思う。
錯乱してめちゃくちゃに剣を振り回したり、
悪あがきをして適当に銃を撃ったりしないのだから。
動かない分、こちらが弾を外すこともない。
一思いに殺してやることができるのだ。
──だから、目の前にいる少年は恰好の獲物に見えた。
「さよなら」
冷たく、凛とした声が部屋に響いた。
壁に当たって反射した音は微量に悲哀を含んでいたがリミアが気づくことはなかった。
息を吸い、吐き、止める。
準備は整った。
あとは的を確実に撃ち抜くだけ。
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