6人が本棚に入れています
本棚に追加
トリガーに徐々に力を込めていく。
銃もリミアと同じく呼吸しているように感じた。
息を吸い、弾とともに空気を放出する。
その時だ。
今まさに処刑室となりつつ部屋にバタンと音が鳴った。
少年が倒れる音ではない。
リミアは銃撃の寸前で音に気づき、指の力を緩めていた。
部屋のドアに振り向く。
「おい、何してんだよ」
ドアから入ってきた闖入者はリミアと少年の間に入りこみ、リミアを見据えた。
黒髪の青年にリミアは静かな声で言った。
「そこをどいてください。……コルヤ君も撃つことになります」
コルヤと呼ばれた青年は目に強い光を湛え、問う。
「何故殺そうとしている?」
リミアは表情を変えず坦々と答えた。
「この子が私達のターゲットだからです」
氷が言葉に化けたのかと思うほどリミアの声は冷え切っていた。
最初のコメントを投稿しよう!