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怒り、悲しみ、悔しさ、諦めなどの色が混ざって不透明で複雑な黒ができている。
虚脱感しかない暗い瞳。
リミアはこの目に慣れてしまっていた。
殺害する直前に必ず向けられるからだ。
目の前の少年も例外ではない。
「貴方の名前は何ですか?」
少年から返事はない。
続けて質問する。
「貴方は何者ですか?」
リミアの声が少年にやっと届いたらしく視線を落とし、考えるそぶりをする。
答えはすぐ返ってきた。
答えによっては少年の息の根をとめる。
仲間は制止するかもしれないが、目の前にいるのはどう考えても敵だった。
だから少年の解答を聞いたとき思わず唖然としてしまった。
「ぼくが、誰だか……教えて……?」
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