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十分ほうけた後、自分の耳を疑った。
自分の名前が分からない、
少年はそう言った。
嘘をついているのか、記憶がないのか。
どちらにせよ出自が疑わしい人間を信用するわけがない。
危険性を孕んだ芽は早急に摘み取ったほうがいい。
これが最善策だ。
少年は選択肢を間違えた。
リミアは額に銃口を向けた。
その時、少年の視線が持ち上がり銃口とリミアの顔を交互に見比べる。
最終的に少年は銃口ではなくリミアの顔を直視した。
相変わらず虚ろな目だったが、暗闇は取り払われ最初の海が戻っていた。
凪いだ海はとても静かで澄んでいた。
ただ、その海に光が射すことは二度とない。
少年一人を撃つのにどれだけ時間をかけているんだ、と心の中の自分が毒づいた。
引き金を引き絞る。
次いで、音と膨張した空気が部屋一帯を満たした。
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