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夜中のような静寂と暗闇が訪れる。
外部との接触を一切断ち切った少年には何も届かない。
少年はなんでこうなったんだ、と心の中で呟いた。
答えてくれる者は当然いない。
苦さが胸いっぱいに広がる。
苦しい、悔しい。
自分が情けない。
記憶なんてどうしたら消せるのだ。
前の自分は何をしでかした。
いくら自問しても反応してくれる他人どころか自身さえ解を見失っている。
問う度に心がからっぽになるような感じがした。
記憶がない自分が感情をも忘れてしまうとどうなるのか、そう考えただけで背筋が凍りつく。
やがて星のない夜空に冷たい空気が漂い始めた。
指先、足先から冷気が這い登ってくる。
冷気を振り払うこともなく、抗おうとしない少年は固く閉じたまぶたを緩めた。
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