無知な少年

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二十四日、ブバルディアの月。 彼女は彼の為に食事を作っていた。 温かな湯気を纏ったスープとベーコンとレタスを挟んだクロワッサン。 簡素な朝食をトレ―に載せ、彼女は自分の料理のレパートリーの少なさを悔やんだ。 料理が得意ではない彼女が作れるのは簡単な汁物とサンドウィッチぐらいだ。 最近調理担当になってしまったのでなんとかしなくてはと思うものの、暇を見つけられない。 当然向上する気配はない。 彼がいる部屋の前に立ち、手を持ち上げる。 手がドアと接触する瞬間、彼女は動きを止めた。 きっと彼はまだ目を覚ましていないだろう。 睡眠からではなく、昏睡から。 彼がここに来たのは六日前。 発見された時、彼は花畑にいた。
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