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「お前は本来この時、死ぬ運命ではなかったのだ。」
「えっ!?」
「本当は、あの日お前は、ひったくり犯に出会っていなかったし、車に轢かれることもなかったのだ。」
「どういう事ですか?」
神に本来の運命と自分が体験した出来事を聞かされた
「なるほど、本来ならば僕は死んでいなくて、その男と人質の子供が死んでいたんですね」
「そうだ。お前の手によって運命が変えられたのだ。今ならまだお前が死んでいない世界に戻すことも可能だがどう―」
「お断りします」
神が言い切る前に宣言した
「せめて後、二文字ぐらい言わせろよ。まあいいだろう。だが、何故戻らない?」
「人には生きている理由があるんですよ。せっかく助かったのに僕の決断でまた死んでしまったら意味が無いし、それにきっと彼らにも生きている理由は、あるんだと思います」
「…家族や友も悲しむぞ」
「そう…でしょう。それが心残りです。でもきっと立ち直ってくれるって信じてます」
「フッ、ならばいいだろう」
(初めて笑ったなこの神)
そう思ったが黙っていることにした。
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