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その様子を酒場に入る前、声をかけてきた職人が酒を飲みながら見ていた。
「ディスが怪しいぞ。」
そのつぶやきに別の職人が答えて話し始める。
「ん? ディスがどうしたって?」
「確か・・・ディスは七年前に嫁さんと娘を亡くしたよな?」
「あぁ・・・あれはひどかったなぁ・・・
ディスが鉱山で資源集めに行っている間のことだったな。
荒れ狂う嵐でリソースの後ろにある鉱山から土砂が流れて、鉱山に近かったディスの家は巻き込まれちまってよぉ・・・
家にいた嫁さんと娘は・・・
思い出すだけでもディスが可哀想で仕方がねぇ」
「話しが変わるが・・・今ディスの連れているあの子はいったい・・・」
「ん? あの子? おや、本当だ。子供を連れている。」
「ディスは旅に出るようなことを言っていた。何のためにだ?」
「そんなの俺らが知るわけでもないだろー」
「まぁ・・・そうだな。」
誰かの視線を感じたウィンリス。
後ろを振り返るとあの職人と目があった。
思わず目をそらすがやはり視線を感じて仕方がない。
ウィンリスは、亭主と話しこんでいるディスの服の裾を引っ張った。
「ん? どうした?」
気づいたディスはウィンリスの目線に合わせ、中腰になる。
「あの人間・・・見てる。」
ウィンリスは小さな声で言い、指差した。
「・・・ほっとけばいい。気にすることないさ。」
「分かった。」
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