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そう言ったものの、視線を感じてしょうがない。
怪しむ職人もウィンリスがチラチラと見てくるため、ディスは何かを隠しているんじゃないかと疑いが強くなっていった。
その二人を気にもせず亭主と話し込むディス。
「旅人も大変だなぁ・・・」
「そうですね・・・。けれど旅を決めたからには運命を背負うことにもなりますし。」
「運命か・・・亭主。お願いがあるんだがよ。
今この場にいる旅人で、子供を連れてもいいっていう奴はいないか?」
「子供を? ・・・」
ディスのお願い事を聞くと亭主は、ウィンリスに目が行った。
「いるかもしれませんけど・・・」
「おぉ! 本当か! どんな奴がいるんだ?」
「私が知っている人物ですとあの方です」
亭主の手を差す先には、二十代くらいの酒に酔ってフラフラと踊っている男だ。
誰が見ても頼もしくは見えない。
「・・・他は?」
「他ですか?」
「他だ、他。あんな奴・・・頼りがいがあるように見えない。」
「今は酒に酔っていますが酔ってなければしっかり者です。とても気遣いがある人ですよ」
「んー・・・・・・。」
ディスは亭主に勧められた男を見ながら考え込む。
そんなディスを見て亭主は訪ねる。
「もしかして・・・お連れしているお嬢ちゃんを旅人に手渡すおつもりで?」
「あー・・・そうなんだが・・・」
亭主の問いかけにディスが嘘の訳を話そうとした時だった。
突然大きな音をたてて酒場のドアが開く。
酒場にいた客達もその音に驚き、ドアの方を見た。
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