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そこにはローブに身を包み、フードで顔を隠した人物が立っている。
酒場の空気が凍りついたように静まり返る。
その人物は周りを見るなり
「たいした旅人もいねーもんだな。酒に酔いつぶれる雑魚ばかりじゃねぇか。」
鼻で笑い言い放った。
すると、一人の旅人が頭にきたのか、机の上を強く叩き、立ち上がる。
そして、ローブに身を包んだ謎の人物に近づくなり胸元を掴んだ。
「おい。てめぇ今、なんて言いやがった。」
「何? もう一度言って欲しいわけ?」
「お前。この酒場にいる人間に喧嘩売りてぇのか?」
旅人の問いかけに謎の人物は笑いながら答える。
「さぁ? どうだろうね。俺は正直に言っただけだぜ?」
その態度に旅人は頭にきて腰につてけいた斧を手にした。
「っ!・・・もういっぺん言ってみろ! 今すぐにでもお前の腕一本持っている斧でぶった切ってやる!」
突然の旅人同士の喧嘩に亭主は顔を真っ青にして、やめるよう口にする。
「お、お客さん方! おやめください! 他のお客様方に迷惑ですので!」
亭主の注意を無視するかのように謎の人物はさらに挑発するようなことを発言する。
「亭主のおやっさん。安心しな。こんな酒くせぇ奴なんぞ今一瞬で、殺してやるからよ。」
亭主はさらに顔を青くした。
旅人は顔を真っ赤にし斧を振り上げる。
「てっめぇ!」
誰もが謎の人物が怪我をするだろうと想像した瞬間だった。
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