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謎の人物はサッと斧をかわす。
「そんな斧で俺が殺せるとでも思ってんのか?やはり雑魚だ。」
そう言い放つと、一瞬にして斧を振った旅人の口から血が吹き出した。
「っ・・・!うぅ・・・」
ほんの一瞬のことだった。謎の人物が何をしたか誰の目にも見えていなかった。
客達が一斉に顔を真っ青にする。
ディスもその状況を見て、飲みかけの酒を手から落とす。
ウィンリスは何が起きたのか理解できずにいた。
亭主は腰が抜けて、後ろにある棚にぶつかり食器や酒が落ちて割れる音が、静まり返った酒場に響き渡る。
そんな酒場の空気を平然として謎の人物は亭主のいるカウンターへと歩き出した。
客達は怖がり、自然と壁の隅へ寄る。
近づいてくる謎の人物に、亭主は怖がって壁の隅に寄ろうとしたが、謎の人物が口を開く。
「安心しな。本当に殺しちゃいねぇよ。身体の一部を壊しただけだよ。水を一杯もらえるか?」
「は、はい! 今すぐにお持ちします!」
慌てて亭主は立ち上がり注文の水をコップに注ぐ。
震えながらカウンターのテーブルに置いた。
謎の人物は置かれたテーブルの前に座る。その隣には、ウィンリスがミルクとチョコレートを持って立っていた。
ディスはウィンリスが危ないと思い、ウィンリスを謎の人物から離そうと手を引こうとした時。
謎の人物がウィンリスに気づき、ウィンリスを睨んだ。
その睨みを見たディスは殺気を感じ動けなかった。
殺気を放ちながら睨んでる謎の人物に対してウィンリスはビクともせず、謎の人物をじっと見つめる。
「おい、チビ。なんだよその目は。」
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