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「ふーん。チビにしちゃ価値がありそうじゃねぇか。」
そう言い謎の人物はウィンリスに触れようとする。
それを見たディスは立ち上がり、勢いよくウィンリス抱き上げた。
そして、触れようとした謎の人物に向かって怒鳴る。
「こいつは売り物なんかじゃねぇ!」
「・・・・・・。」
それに対して謎の人物は何も口出ししなかった。
しかし、ディスの目をじっと見つめる。
ディスは蛇睨みを食らったようにその場から動けず、ただ謎の人物を睨み返すだけ。
誰もが睨まれたら恐怖を感じるその目は獲物を狙うかのように瞬き一つしない。
客達もディスと謎の人物に集中する。
そんな緊迫した空気の中、ディスに疑いを強く抱いていた職人が酒場から出て行くなり外で叫んだ。
「誰かー! 大変だー! 人間に化けた獣だー!」
それを合図にするかのように、酒場にいた客達が豹変し始め、武器を手に持ちディスとウィンリスを襲おうとする。
「っ!」
ディスは襲ってくる客達をかき分けながら外へ出ようとドアへ向かう。
客達はウィンリスを売れば大金が手に入るということしか頭ない。
次々に武器を振り回す客達。
ウィンリスに傷一つつけないようにとディスは自分の身体で武器を受け止めながら走った。
だがドアの前で突然、謎の人物が現れディスの足が止まる。
「その子供。お前はどうするつもりなんだ?」
謎の人物の問いかけにディスは何も答えず、ドアを開けようとした。
それを見て謎の人物はドアから離れ、襲いかかる客達の前に出る。
客達の手が止まった。
客達の頭には先ほど起きた出来事が蘇る。
一瞬にして旅人が殺されかけたこと。
そして謎の人物は客達を震わせるようなことを言った。
「今から。お前ら全員殺してやるよ。」
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