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「おい。ここで何があった。」
一人の兵士が先ほどまでウィンリス達もいた酒場を訪ねていた。
リソースの住民の一人から、酒場で旅人が何者かに殺されかけたとの情報。
近くに配属されていた兵士が駆けつけたのだ。
亭主や客達から事情を聞き、状況を把握していく兵士。
その結果あることが判明する。それを兵士は亭主に伝える。
「この状況ですと・・・紛れもなく賞金首にされている放浪者の仕業ですね。」
「しょ、賞金首ですか?」
「実は・・・ここ数ヶ月、大都市でも酒場が荒らされており、何百人もの被害者が出ておりまして。
黒いローブで身を包んだ男が、一人で酒場を訪ねては何かしら被害者を出すという被害が続いています。
国王からの命令で賞金首として注意を呼びかけております。」
「そんな・・・それでは酒場から客が減ってしまいます。なんとか捕まえてください。」
「我々も全力を尽くしていますが・・・なんにせよ能力を持っているとの噂。ただの人間では何もできないのですよ・・・」
兵士もやりきれないようなため息をもらす。
同時に酒場の近くを偵察していた兵士が声をかける
「大変です! 酒場の裏路地で一人の旅人が倒れております!」
「なんだと?!」
亭主と話をしていた兵士は驚く。そしてまた別の兵士も。
「大変です! 酒場から離れた家のそばで五人ほどの旅人が血を流して倒れております!」
「っ! 酒場にいた客全員殺していく気か?・・・だとすると住民も危ないかもしれん。
今すぐ住民達に呼びかけろ! 寝ている住民には兵士を一人配属! 奴はまだうろついているかもしれん!」
その様子を楽しそうに窓から覗き込んでいる人物がいた。賞金首にされている謎の人物だ。
「っふ。馬鹿な兵士どもがきやがったか。まぁ少し派手にやったからな。」
謎の人物は壁と壁を蹴り酒場の屋根の上に立つと呟いた。
「あの獣の子供と人間に化けた巨人はどこに逃げたんだ・・・?」
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