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「うん。怖くない。」
無表情で答えるウィンリス。
それに対して謎の人物は何かを試すかのように、突然ナイフを手にしてウィンリスめがけて投げた。
ナイフはウィンリスの頬をかすり、ドアに突き刺さる。
何も動じないウィンリスを見て、謎の人物はさらに追い打ちをかけるかのように三本のナイフを投げた。
わざと外しているのか、三本とも身体に触れそうな距離でドアに突き刺さり、それでも動じないウィンリス。
謎の人物は納得するかのように「ふーん。なるほど。」と呟く。
こんなにも危ない状況だというのに、ディスはぐーぐーといびきをかきながら寝ている。
ナイフを投げられたにも関わらず、全く動じないウィンリスを謎の人物は再び問いかけた。
「・・・何故この街にいる。」
「ここに来るように言われた。」
「誰に?」
「・・・・・・。」
答えれない。
ディスに魔女のことはあまり話さない方がいいと言われたからだ。
答えないウィンリスを見破ったかのように謎の人物は驚きの言葉を口にした。
「魔女に頼んで人間にしてもらったのか。」
「っ!・・・」
さすがにこれにはウィンリスも驚く。
ディス以外に誰一人として、魔女に頼んで人間にしてもらったなど口にしていなかったからだ。
本当にこの人物は何者なのか・・・ついにウィンリスは問いかけた。
「人間なの?」
「俺のことか?」
「うん。」
「普通の人間じゃないように見えるが・・・正真正銘、ただの人間だ。
そう言われても信じねぇかも知れねぇけど、国を支配出来る人間だとしたら、能力を持っていてもおかしくないだろ?」
国を支配している人間。そんな存在がこの世にいるのだろうか。
ウィンリスはまだ国の仕組みを知らないため、謎の人物の言葉は理解できない。
なので、何も言わず首をかしげた。
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