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「俺はこの国の国王ロディアス・リーティアの息子ディルア・リーティア。」
「! 国王の息子だと? 信じられん。賞金首になってる奴が国王の息子なわけない。」
「賞金首になったのは俺も予定外だ。
城から抜け出してバレてると思ってたんだが・・・賞金首にして俺を捕まえるつもりでいるか。親父の考えはわからねぇな」
「何の目的で城から抜け出して、酒場を襲っては能力を使い人殺し。
国を収める国王の息子なら民を大事にするもんだろ!」
「・・・。民を大事にだと? 宝と金目的で旅を続ける旅人どもは民でもねぇよ。
俺の目的は、幻想動物、種族人種の奴らが堂々と暮らせる世界に戻したいだけだ。
あの出来事・・・親父が狂い始めて起こしちまった残酷な出来事を消すため、酒場に行き、英雄と呼ばれた旅人を探している。」
謎の人物ディルアの表情は、真剣そのものだというのがディスにも分かった。
そして、国王が起こしてしまった出来事を話し始める。
「幻想動物や種族人種達も人間と混ざり合い暮らしていた時代。
親父は民を大切にし国を収めていた。母さんが死ぬまでは・・・。
親父は何かに取り憑かれたかのように、幻想動物を狩り始めた。」
―――― ―――
「おい。親父こんなに殺してどうすんだよ! 何も悪いことしてねぇ動物達だろ?」
「集めるんだ。材料を。」
「は? 材料って・・・何の材料だよ・・・」
「ミアを・・・お前の母さんを生き返らせるんだ。」
「っ! ・・・何言ってんだよ。そんなことできるわけねぇだろ・・・」
「魔女の力を使えばできる。そのためには材料がいるんだ。お前も手伝えディルア」
「・・・手伝わねぇ。」
「なんだと? 母さんが生き返るんだぞ?」
「魔女の力を使ったって死んだ命は無理なんだよ! そんなことしたって母さんは嬉しくもねぇよ」
「・・・私の育てが悪かったようだな。
王子だというのに口も悪く、城を出ては遊び歩き、おまけにエルフなどに恋をするなど、王の座にはふさわしくない。
死んでも王の座は渡さん」
「っ! あぁ! 勝手にしろよ! 親父の好きなようにしろよ。
後で後悔したって俺は助けねぇよ。」
―――― ――――
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