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向かった先は、お菓子屋だ。
ディルアはそれほど甘いものが好きというわけでもないが、子供の頃からよく食べていた、ミィの実という北地方にある果物からできたキャンディが好きなのだ。
それだけを買いに来たつもりだったがウィンリスがいることを考えて他の物も買うことにした。
だがウィンリスの好みが分からない。
元が獣となると、人間の食べ物は全て初めて口にするもの。
ウィンリスに聞いたところで好みが分かることでもないため、ディルアは店の人に子供から人気のあるものを聞く。
「この子くらいの歳で人気の菓子って何ですか?」
「そうですねぇ・・・女の子から人気があるものと言うと・・・これですかね?」
店の人が手に持ったのは、色々な果実の味が楽しめるキャンディボックスだった。
可愛らしいハートの形をしたボックスの中に、たくさんのキャンディが詰められている。
ウィンリスも中身を見て少し喜んでいるのか、尻尾が隠れているローブの下が左右に揺れる。
ディルアはそれを見てキャンディボックスを買うことに決めた。
二人は旅に必要な食料は全て揃え、ディスの家に向かう。
途中で兵士達の会話が耳に入った。
「賞金首が今この街にいるならば全ての出入り口を固めたほうがいいな。」
「そうだな。通行証を求めるようにするか」
「通行証を持っていないものは通さずに調べあげてから通すか」
「住民の者はどうする? 通行証を持っていない者がいるかもしれんぞ?」
「そうだなぁ・・・。あ! 住民表を使えばいい。家族から何まで聞けばいいだろう?」
「頭がいいなお前! それがいい!隊長に伝えよう」
ディルアはそれを聞き今すぐにでも旅に出た方がいいと考えた。
ディスの家に着くなりディルアは食料をまとめ始める。
すると、武器を手にしてディスが入ってきた。
機嫌が良さそうに笑顔を浮かべながらウィンリスとディルアを見つめて言う。
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