第一楽章

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オレは黙っていた。 口にするのが嫌だった。 「角が無くなり、生きる所が無いから人間界に来た。そうだな?」 「…あぁ、そうだ」 「まあ良い」 人間を包んでいたオーラが無くなり、刃物が棒に戻った。 「ここの所、鬼が出ないから安心してたから少し焦ったのう」 やがて人間は背を向け、思い付いたように言った。 「人間界に出たいのならあの小屋に来なさい」 そしてそのまま小屋へと戻った。 「オレが行くわけねーだろ。頼ってられっか」 オレは体にめり込んだ石を取りながら言った。 「あいつ強かったな。祓いかなんかかも知れねぇな」 祓い。正式には鬼祓い。鬼術と呼ばれる、魔術の一種を使うらしい。 人間の中には少数だが祓いがいると聞いたことがある。 それなら鬼の言葉を話せるだろう。 オレは山を進んだ。ある小さな村があった。 オレは食料を求めて村に向かった。
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