プロローグ

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1-3 「彼女は天の民だぞ。たいていの娘は美しいものに目がない。いや、それはともかく、再び天から花嫁を送り出す国王としては、彼女が天の娘として恥じることのないよう、こちらで支度を整えてやりたい」 「支度というのは?」 「おや、ご存じないか。天では嫁ぐとき、花嫁の実家で支度品を整えるのが習わしだ。それで家の豊かさを誇示する。アルス一族の者どもに天の豊かさを見せつけてやろう」 「残念だが、一族にそういう習慣はない。家のしきたりを覚えるために一定期間、女は男の実家に仮住まいし、家族の者が納得したなら結婚はそれで成立する。特に身分といった区分けはないから、そういう意味では気楽なものだ」 「結婚式のようなものはないのか」 「式?」 「こういう嫁が来た、と周囲に知らしめるためのものだ」
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