プロローグ

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1-6 「長というお立場上、なかなかそういったことはできないだろうと思ってな。なに、同類相憐れむというやつだ」 「あなたもそうだったのか」 「妻を口説き落とすのにそれはそれは苦労をした。近づいてくる女は私にではなく、地位や名誉、財産に惚れているだけだ。だから私は、最も私を嫌っている女を妻にしてやった。今でもまともに愛されてはいないぞ」 「…ご苦労をされていたのだな」 「しかし娘がひとりいる。私を愛していることを認めたくはないだけだ。強情で美しい、私だけの宝だ」
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