割れた爪

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 玄関にはこのトートバックの持ち主が座っていた。 「お、いたいた。由佳」  俺は由佳の隣へ行って声をかける。 「なにしてんだ?」  彼女はセーラー服にジャージを履くという格好をしていて、右足の裾をたくし上げ紺色のソックスを脱いでいた。 「あー……透ちゃん、見てよコレ」 「うわっ、いってえ」  見せられた右足の親指から血が出ている。爪の周りから滲み出ており、爪が割れたようだった。
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