動き出す『者』と、“浮上《あ》”がり出した『モノ』

12/21
前へ
/224ページ
次へ
   この場に訪れて来た乙女系腐女子の翌桧に、洋一はうなだれる顔を上げ、恵分はニカリと笑って彼女を見た。  すると、彼女は、ニコニコと微笑んで恵分のもとへと駆け寄り、肩から掛けていたバッグから一つの本を取り出した。 「ゴメンね、恵分ちゃん。ちょっと先生から色々とデザインのアドバイスを貰ってて。コレ、約束のFLAREのパンフレットだけど、見てみる?」 「勿論に決まってんだろ?  ほら、早くソレをオレに貸せ」  恵分がひたすら手招きをし、翌桧は彼女にパンフレットを渡すと、彼女は直ぐ様パンフレットをめくり、ニヤニヤと笑い出した。 「ちょっ、石見さんがうめぇvvてか、御咲さん、ナニこのエロいのvvヤッッベェ!vv」 「(石見さんに、御咲さんだと?!)」  彼女が、ハートを飛ばしながら言ったRe:setメンバーの名前に、洋一はあんぐりと口を開ける。 「でしょ?あと、ヒノちゃんと、播磨さんと、スッくんと、長都さんもこのイベントに出ててさ。森泉さんが出てなくって、マジ残念だったの」 「(ちょっ、どれもこれもRe:setメンバーなんですけど?!)」  今度は、翌桧がパンフレットを見ながら言った更なるRe:setメンバーの名前に、洋一の表情が、音を立てながら青ざめていき、洋一は、二人の様子をただただ見つめる。  たまたまなのだろうか。FLAREのイベントメンバーが、全てRe:setメンバーな気がする。 「アレ?何か足りなくね?」 「そうそう!肝心のあの人が今回いなくてさ」  パンフレットをパラパラと捲って何かを探し出す恵分に、翌桧は残念そうに頷いて言う。 「ん?」  
/224ページ

最初のコメントを投稿しよう!

58人が本棚に入れています
本棚に追加