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洋一が少し油断して、徐々に落ち着きを取り戻しながら二人を見つめる。
だが、次の瞬間、彼女達が言ったトドメの人物の名に、洋一は、とてつもなく大きな矢印の攻撃を全身に喰らった。
「あの、刀を常に背中に背負ってる守政くんがいないんだよねー」
「サガミさんがいないだとォ?!ソコ、期待してたのに!」
「ぐふぅぅォォオッ?!!!」
洋一の精神に、効果抜群の特大ダメージ!
自分の相棒の名前を耳にした洋一は、顔を真っ青にして冷や汗を垂らし、口をあんぐりと開けたままその場で硬直した。
もろフルネームじゃねぇかよッ!?つか、“相模守政[あのヤロウ]”が、FLAREのイベントメンバーだったなんて、俺、全く知らないんですけど!?
「ンん?」
洋一の驚き様に、恵分はパンフレットから洋一に視線を移し、訝しそうに見つめた。
「オマエ、何で、サガミさんの名前を聞いたくらいで驚いてんだよ?」
「……へ?あ!あぁ。何でもねぇよっ」
彼女に問い掛けられ、洋一は直ぐに我に返ると、若干引き攣った笑みを浮かべて答える。
「ただ、俺の知っている声優が、FLAREのメンバーだったことが信じられなかったもんだからよ」
「ふーーーーん」
彼女が、更に疑いの眼差しを洋一に向けてくる。
これはマズい。
洋一は更に引き攣った笑みを浮かべ、冷や汗をダラダラと流した。
今此処で、彼女達に自分がRe:setのメンバーだという事が知られてはマズい。
洋一はゴクリと生唾を飲み込み、意を決して口を開いた。
「ほら、恵分。お前さ、俺に教えてくれただろ?
相模 守政さんっていう人は、あー見えて、実は色んなの、つまり、武術を習得しているんだってよ」
「あぁ。それの情報はな」
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