動き出す『者』と、“浮上《あ》”がり出した『モノ』

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  『“青少年健全育成条例”と、言ってね。アニメや漫画のキャラクター達にも、私達と同じような人権を付けてあげるんだよ。  ほら、そのキャラクター達は、暴力を振るって他の生き物達を殺めてしまったり、または暴力の被害にあったりしている。その他にも卑猥物の対象となって、可哀想な被害を受けていたりと、公共の面前で恥ずかしい事をさせられているんだよ?  しかもそれは、まだ成人していない青少年のキャラクター達が含まれているんだから、とても教育として宜しくないじゃないか。  だから、東京都が先陣を切って、条例を立てて他の地方の見本となってあげるんだよ』 『つまりは、この条例で、これからの青少年達の見本となるような作品を作って貰おうという事なのですね?』 『そう。君の言う通りだよ』  画面上に無数の批難の段幕が吹き荒れる中、男性記者の質問に、岩動都知事が肯定しながら答えて話を続ける。 『全ては日本の未来をより一層良くする為の事。国民のみんなは、きっとちゃんと理解して賛同してくれるだろうね』  一部始終を見終えてか、早速紫色の文字で、 「wwwwwwふ ざ け ん な よ ?DQNがww」  の、恵分のものらしき弾幕が画面上を流れ、それに続いて生徒達の弾幕も飛び始めた。  殆どが、「アニメや漫画を何だと思ってるんだ!」だの、「日本の素晴らしいサブカルチャーを消すな!」だの、「こりゃ世界各国が嘆くww」だの、岩動が提案した条例に対しての批難ばかりだ。 「へぇ~。これがあの、俊英大学名物のアニメ・漫画専攻科の弾幕なんですか」 「ッ!?」  
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