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「取り敢えずだけどさ、アンタ、早く学校に行く準備済ませて下に来いよ。
折角、この俺が作ってやった朝飯が冷めて、不味くなっちまうじゃねぇか」
「はいはい」
洋一は、強く叩かれた左手を軽く振りながら、気怠そうに返事をする。
「返事は一回!いい加減覚えろや」
この態度に、守政はギロリと洋一を睨み据えて言い放つと、踵を返して部屋から出て行った。
「……はぁ」
一人になった自室で、洋一は面倒臭さそうに溜め息を吐き出すと、頭を掻いて窓のカーテンを開けた。
窓から射し込む朝の日差し。
その日差しの眩しさに洋一は両目を細め、クローゼットから服を引っ張り出して、欠伸をしながら着替え始めた。
朝のRe:set本部は、何気ないくらいの平穏を感じさせる程、静かで穏やかだ。
洋一と守政以外のメンバーは、夜中のうちにそれぞれの自宅へ帰り、家族やら、表の職業の仲間達とのコミュニケーションをとっている。
なので、夜のような賑やかさと騒がしさは無く、此処を自宅としている守政が、ある意味この本部の主みたいな存在。
彼は、自分の表の仕事が休みだった時は、一緒に住んでいる洋一の部屋を掃除し、毎回のように洋一を驚かせている。
洋一が面倒臭ささに溜め込んでしまったゴミが、キレイさっぱりに無くなり、埃や塵も、跡形も無く消えていたりするからだ。
そして、その時に限って、彼が大抵口にして言うのが、
「Gが出るから、この俺がキレイにしてやったぜ」
の、一言。
あの時のG騒動で、メンバー全員が本部から出払っている間、彼はよっぽど酷いモノを見てしまったらしく、彼は、あの時の惨劇が二度と来ないようにと、洋一に念を押している。
「兼城ォ!アンタ、何時まで部屋に籠もってやがんだ!飯食わねぇのか、テメェ!」
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