動き出す『者』と、“浮上《あ》”がり出した『モノ』

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  「それでも、別の病院に連れてってもらう。あんな病院に連れてかれるんなら、自力で絶対ェ違う病院に行った方がマシだ!」 「やっぱ我が儘だな。お前さ、そんな事したら死ぬかもしれないんだぞ?」 「うッるせぇ。これくらい俺の勝手だろ!」 「はぁ……。めんどくせぇヤツ」  なんだか、守政が可愛らしいと思っていた自分が、すごくバカバカしい。やっぱり、この男は何かと難癖があって面倒だ。  洋一は、とても面倒臭さそうに溜め息を吐き出して、フレンチトーストとハムエッグを口に放り込むと、ゆっくりとよく噛んでから飲み込み、気怠そうに欠伸をした。  今日もまた、面倒臭さい1日が始まりそうだ。 「ふぅあぁあ」  あれから太陽が空高く上り、青々とした晴天に、水彩絵の具で描いたような白く薄い筋状の雲が浮かぶ、冴え渡る秋空。  その秋空の下。  気怠そうに欠伸をした洋一は、陸上専攻科の中でも下の成績の仲間達が、特別強化講習でひたすら能力強化トレーニングする中、親友の富士と共に、肩からバッグを下げて大学の敷地内をゆっくりと歩いていた。 「なぁ、洋一。みんなが特別強化講習受けている間って、俺達、トレーニングルームとグラウンドが使えなくて暇だよなぁ」 「あぁ。  皆には、トップ成績の俺達の呟きなんて、とても嫌味にしか聞こえねぇだろうけど、この講習の時間だけは、俺達にも講習という名目で、何かスケジュールを入れて欲しいもんだよな~……」 「ハハハッ!洋一は、計画立てるのがホント苦手だよな!」 「つか、めんどくせぇだろ」  面倒臭さそうに言った台詞に、富士は豪快に笑ってからかうと、洋一は呆れ果てた顔をして、彼を見て言葉を返した。 「洋一。お前、その面倒臭がりを直さねーと、何時まで経っても恋人が出来ないぞぉ~?」  
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