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「でもね、イチ。一つだけ言うよ。」
「…うん。」
「匠くんは、イチがどんなやつだって、拒んだりはしないよ。」
「………うん。」
「あの人は、いい人だから。イチも見る目あるよ。」
にしし、と笑う広野さんに、思わずこっちまで笑ってしまう。
広野さんは、まるでヒーローだ。
(いつだって励まして、安心させてくれる。)
じゃあね、と、広野さんに別れを告げて、店を出た。
目の腫れは幾分かひいていた。
なんとなくすっきりとした気分で、帰路を歩みながら伸びをした。
(本当、乙女みてえだなあ、あいつ。)
(それにしたって、匠くんは、いつになったらイチの視線に気付くのか。)
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