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(あと15分…)
時計の針はだんだん『12』の文字に近づいていて、それとともに心臓はバクバクと大きく跳ねていた。
これは日付を跨いでしまうパターンかもしれない。
いや。なんとなくわかっていたことだけど。
キーボードの隣においていた箱に目を向ける。
(ごめんね。君の出番はないかもしれない。)
心の中でそんなことを謝る。
実は、このチョコ。少しだけ失敗したのだ。
一人暮らしが長かったこともあり、それなりに料理はできる。
爽哉も美味しいっていってくれるし、下手ではないはずだ。
チョコレート菓子をつくるのも、いつもなら全然大丈夫なのに。
今回はいつも通りにいかなかったのだ。
まず。バレンタインが近づいていたことを気付いたのが昨日の朝。
仕事が忙しすぎて、日にち感覚が完璧にずれていた。
そして、昨日の夜。爽哉も仕事でいなかったので作ることに。
材料を買って帰ったのはよかったけど、家についたのは夜中の1時。
疲れた体を引きずって作っていたのだが、眠気があまりにもひどかった。
湯せんしていたチョコレートが少し焦げてしまったのだ。
それから、そのまま作ったものの若干黒い気がしてしまう。
作り直したかったが、仕事でそれも叶わず今に至るのだ…。
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