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「なんだ。やっぱりチョコなんじゃん。」
「いや。でもね…」
「なに?まさかあげれないとか言わないよな?」
「あ、いや…」
そうです、とも言えずに口ごもる。
あげれない、なんて言ったら何が起こるかわからない。
「奥さんからチョコもらえないってどうよ。」
「いや、その理由があってね…」
「失敗したとかだったら聞かないからな。」
「え…」
「………あれ。もしかして失敗…、したの?」
「う、うん……」
苦し紛れにうなずくと、爽哉は一瞬ポカンとしてみせた。
が、すぐに顔が綻び、なぁんだ、と安心したようにため息をついた。
「他のやつにあげるのかと思ったし。焦らすなよ。」
「え、なにその焦り。あたしが他の人になんてあげるわけないじゃない。」
ため息まじりにそう言うと、だよな、と嬉しそうに笑った。
「(そんな笑顔向けんな、バカ。)」
「結菜?」
「え?あ、うん。」
「チョコ、もらっていい……?」
「………苦くてもいいならいいよ。」
「大丈夫。俺、ビター大好きだから。」
後ろに隠していたチョコを差し出すと、大切そうに受け取った。
すると、
「じゃあ。俺からも。」
そう言って、サッと何かを前に見せた。
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