169人が本棚に入れています
本棚に追加
ついビクッとしてしまったのを誤魔化すかのように咳払いをしつつ、上機嫌でメールを開く。
それを見た瞬間、自分でも目が見開いていくのがわかった。
『似合ってる。カッコいい……』
たったそれだけなのに、嬉しさから舞い上がってしまう。
そのテンションのまま、『ホント!?もーっ亜弥ちゃん!俺照れちゃぁ~うっぐふふふふふ……』ってとこまで打ってからハッと我に返った。
さすがにこの文はキモすぎて引かれるだろ俺の馬鹿。
一気に全消しし、落ち着いた文、落ち着いた文……と暗示を掛けながら打っていく。
「よ、よし。これでok……か?なんか、間違えた気が……」
出来上がった文をもう一度だけ見なおそうとしたそんな時、横から覗き込んでくる影と掛けられた声。
「メールですか?まといさん」
「うっお、こーたくん!!!―――って、あ゙ぁぁあっ!!」
「へっ、え!?スミマセッ」
「………送っちゃった」
『送信完了』の文字が表示された携帯を呆然と眺める俺を、申し訳なさそうな表情をしたこーたくんがおずおずと覗き込んでくる。
「まといさ……」
「あー…、ごめんごめん。大丈夫だから、そんな顔しないで」
ね。と安心させるよう微笑んでみせる。
「でも……」
「だーいじょうぶだって。ほらっこーたくんも着替えておいで」
「……はい。スミマセンでした」
しょぼんとする背中を押してやると、とぼとぼ二人の元へ戻っていった。
さて、あれから数分は経ったのだが……
最初のコメントを投稿しよう!