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一気にそう言い切ったところでエレベーターホールに付き、待つ事なくすぐにエレベーターがやってきた。
先に俺が乗り込むと、少し遅れて愁もつづく。
「……何階だっけ」
「あ……あぁ、8階」
「ん」
言われた階を押し、ゆっくりと上昇して行くエレベーター。
二人だけのその空間は変に沈黙が流れていて、なんだか居心地悪い。
チラッと愁を盗み見ると、無言でただただ変わっていく階表示の数字を眺めていた。
~~っ、なんか喋れよ。
ついに沈黙に耐えきれず、あのさ……と声を掛けると、愁の視線がこっちに向いた。
「……」
「……何だよ」
話を切りだしたはいいが、肝心の中身を考えていなかった事にあとになってから気付き、頭をフルに動かして話題を絞りだす。
「っと……次の仕事、何だっけ」
「は?」
やっとたどり着いた話題は、愁を鬼の形相に変えました。
うーわー……「何言ってんだコイツ」って顔していらっしゃりますよ愁さん。
いや、でも正直マジで覚えてないんですよハハハー……こわ。
「あんだけ朝確認しただろ馬鹿」
「スミマセン」
「ハァ……次のドラマについてのテレビ取材だ」
「げっ……そうだ。言う事何も考えてねぇ」
「おい。考えておけといっただろ」
「えへっ」
グーで殴られました。
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