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どうしよう。そんな気持ちを込めて愁の顔を見つめれば、情けない顔するな。と、重たいため息がエレベーター内に響き渡り余計俺を縮こまらせる。
「多分ドラマについてと、役作りについて聞かれるだろうから、例のアレをチラッと言っとけ。放送がちょうど訪問する初日の朝だからタイミングも良いだろ」
「なるほど。了解です」
ポーン……
「おぉ、こっちもナイスタイミング」
話の区切りがついたところで、8階に到着した。
エレベーターから降りようと踏み出すのと同時に、愁に名前を呼ばれ振り返る。
「くれぐれも余計な事言うなよ?」
「わかってますよー」
そう返事はしつつ、頭の中は余計な事でいっぱいだった。
流石にテレビで名前は出せないよな……。
あ、バレない程度で口パクならいいんじゃね?うん、問題ない。そうしよう。
「……ホントにわかってんのかあいつ」
後ろでぶつぶつ言う愁を置いて、忙しなく行き来するスタッフさん達に挨拶をしながら、与えられた楽屋へと向かった。
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