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(やべ...財布忘れた...)
と、啓汰は心の中で舌打ちした。
講習の休憩時間に飲み物を買いに行く生徒はたくさんいる。
にも関わらず、自販機は1台しかないため、休憩時間には長蛇の列をつくってしまうのだ。
その行列を避ける為、休憩開始の声が掛かるのと同時にダッシュで並んだのだが、肝心の財布を忘れてしまったようだ。
「福田早くしろよおー」
「後ろ待ってんだけどー!!」
と後ろに並んでいる生徒達からのブーイング。
諦めよう...そう思い、列から外れようとした。
そのとき、白い手が啓汰の横から自販機に触れた。
「どれ、飲むの??」
淡いグリーンの浴衣を着た、啓汰と同い年くらいの女の子が啓汰に尋ねた。
突然の出来事に、啓汰は一瞬たじろいだが、小さく呟く。
「レ、レモンティー...」
女の子は優しく笑い、ボタンを押す。
ガコンっ...と音がして落ちたそれを、はい。と啓汰に渡した。
そしてもう一度、同じボタンを押した。
「私も、飲みたかったんだ。」
そう言ってキャップを開けた。
「あ、の、、、金」
「え??」
「と、取ってくるから...」
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