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そして誰だったかが言い出した。
ーー人柱がいると。
人柱に決まったのは、三姉妹の二番目の私だった。
妹はまだ赤子で、姉上は縁談が決まっていた。
だから私だったのだ。
それを母上様が自ら川に身を投げて嵐を鎮めた。
つまり母上様が私のことを守ってくださったのだ。
私は母上様を奪った嵐が好かぬ。
嵐は私から大切なものを奪っていくからーー。
三日祭が終わった、義宗様が戻られた。
すぐさま床に着かれた。
かなりお疲れのようじゃ。
その晩、雨がシトシトと降りだした。
その音は微かで、まるで誰かが泣いているようじゃ。
気になって寝れなかった。
誰かに会いたくて、勝手に足が義宗様の床へと向かう。
ふすまを開けると義宗様が苦しそうにしておった。
義宗様の痛みが移ったように胸が痛み、義宗様が寝ている側に座った。
恐る恐る義宗様の額に手を当てる。
咎められるだろうか……?
不安は義宗様の熱によって消された。
なんとお熱いのだろう。
まるで夏の日差しのようじゃ。
額から汗が次々に湧き出てくる。
このままでは義宗様のお命が危ういのではないか?
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