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床についてからも私はすぐには寝付けなかった。
三日祭とはとても過酷なようじゃ。
戦から戻り、すぐさま行わなければならないものなのだろうか?
私はそのような宿命にある義宗様を案じる。
夫婦となったのだから、義宗様を支えていきたい。
義宗様に絡みついている全てのものを包んでいきたい。
そう、思わずにはおられなかった。
次の日、私は習慣であるお琴を嗜んでいた。
「美しい音色だな、桜」
「義宗様。手慰み程度に嗜んでいるもの故、お恥ずかしゅうございます」
声を掛けられると、義宗様だった。
距離にして人、三人分の襖の側に腰掛けている。
「お加減はもうよろしいのですか?」
「ああ、もう良いぞ。そなたには心配をかけたな」
「そんな、とんでもございません。私など何も義宗様のお役には立てておりません」
情けなくて少し俯く。
ほんに何もお役には立てていない。
むしろ義宗様のお姿に近寄りたくないとさえ思っていた。
「そんなことはない。これは桜のものであろう?」
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