2人が本棚に入れています
本棚に追加
もっとこの方のことを知りたい。
日に日に膨らむ思いを押させるのに私自身が手をやいておる。
地面を打ち付ける雨がだんだんと激しくなっていく。
小さい粒だった雨が大粒になるのがわかる。
囁くように優しく歌っていた雨は、太鼓を叩く音のように、自分を主張してくる。
雲は流れていき、薄いものだったのがどんどん重いものとなっていく。
すると空が一瞬光ったーー。
私は身を竦ませて、両手で耳を塞ぐ。
固く目を閉ざし、口を開く。
「ひとーつ、ふたーつ、みっつ、よっつーー……とお」
ゆっくりと数を数えるが、まだ鳴らない。
もう一度十まで数える。
まだ、鳴らない。
安心して目を開けて、両手を離す。
「どうした?桜」
義宗様が顔を向けてくる。
不可思議なものを見たようなお顔をなさっていた。
「お恥ずかしながら、私は鳴神様が恐ろしゅうございます」
「それで、数を数えるのか?」
ゆっくりと呼吸をしながら、体を落ち着かせる。
最初のコメントを投稿しよう!