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「今宵はお義父様の宴。お気持ちはわかりますが、呑み過ぎではございませぬか?」
義宗様の側に座り、たしなめるといつもある穏やかな空色の眼が鋭く睨んでくる。
それは義宗様が私に見せるお顔。
怖くて身を竦ませてしまう。
「そなたに何がわかるというのだっ」
「わかりませんっ。義宗様が何もご自分のことを口にされないのだから、わかりようがありません。ですが、めでたい席ではありますが、いつも床に臥せっている義宗様にとって、やはりお酒をこんなに呑むことはお体に障りますっ」
義宗様が怖かった。
でも逃げてはいけない気がして、義宗様の目を捕えて外さない。
「何がめでたい席かっ。今日は東雲の為に人柱となった亡き父上様の命日ぞっ」
私は言葉を失った。
義宗様の言葉の意味が理解できなかった。
頭が付いていかない。
命日?誰の?
亡き父上様?誰の?
人柱って……、それでは義宗様も?
「どういうことにございますか?」
「わしはご当主の子ではない。誰が見てもわかるだろう?わしは先代の神子である父上様の子だ」
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