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「当たり前ですっ。皆、死ぬのが怖いに決まっているではありませぬか。私の側で生きてくださませ。そして一人で悲しまないでください。桜はいつも義宗様のお側におります。悲しいときは泣いてくださいませ。諦めたように笑わないでください」
一つ一つ、落とすようにゆっくりと口を開く。
「桜、わしはそなたを望んでよいか?」
一瞬、躊躇った。
でも義宗様のか細い声に震えている体に衝動が走った。
「私は、桜は義宗様をお慕いしておりますーー」
この日、初めて私は義宗様と床を共にした。
真に夫婦になれたような気がした。
誰よりも優しく、誰よりも責任感の強い、そして誰よりも脆い義宗様を守りたいと思うようになっていたーー。
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