雷影

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雷影

     キーーンコーーンカーーンコーーーン‥   「忠士(ただし)!おめぇ今日こそ部活こいよ!」 「悪りぃ!バイト♪」   「あ”あ”ん?!おめぇ昨日も一昨日もそのまた前もバイトって言ってやがったじゃねぇか~!」   「しょーがねーだろぉ。今人手不足なんだから。夏休み入るまで忙しいんだよォ。じゃ、そゆことで♪」   「あ”!?てめッ待ちやがれ忠士!忠ぁー士し!!」   高校二年、内海忠士(うつみ ただし)。   今のうるせぇ野郎は勝信(かつのぶ)。   あれでも俺ら野球部の副キャプテンだ。   いっつも放課後になるとクラスに来て「部活こい!」ってやって来んだ。   梅雨時はちょうど人手足んねぇから稼ぎ時なのに、部活なんかやってられっかよ!    鞄の中の折り畳み傘‥‥あれ?‥無い?!   「やっべ傘忘れた~。」    「忠士く~ん!」   「奈緒!今日陸上部無いのか?」   「うん。体育館は他の部活使っちゃってたし、こんなどしゃ降りじゃぁウエア着ても走り込み出来ないからね。一緒に帰ろ♪」   この可愛い子は鈴木 奈緒(すずき なお)。幼なじみ。   んで、実は俺の想い人。   ずっと前から近所同士、家族ぐるみの付き合いがあるくらい仲が良い。   「バス停から家すぐだから、バイトに傘持って行って良いよ。」   「さんきゅ奈緒。マジ助かる!」      
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