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しかし、結果から見れば初戦敗退のチームだが、このチームの練習量はそこら辺の運動部の練習量をはるかに上回っていた。また、顧問の先生は厳しく、大勢の部員は退部していった。
「こんな、基礎練習ばかりの日々に意味があるのか、ボールを使った対人練習をもっとした方がいいのではないか、練習は厳しいし、体育館だから人にはあまり見られないし、高校生なんだからもっと別のことがしたい」
ほとんどの一年生の頭の中は、このことで頭がいっぱいになっていた。そして、勉強や親、また顧問の先生や環境を理由に、一年生は辞めていった。
古賀も辞めたい人の中の一人だった。しかし、優柔不断の彼はなかなか辞めれなかった。
「辻は辞めへんのか」
関西弁で図体の大きな喜原が辻に言った。辻は入部当初、同期や先輩から一番最初に辞めるであろうと名指しされていた。体はまるまると太っており、外周は誰よりも遅かった。しかし、彼は辞めなかった。そして、喜原も体は大きく、持久走は得意だと自負していた彼だったが、外周は辻の次に遅かった。
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