バスケをやってたじゃなくて、続けるやつがかっこいいんだよ!!!

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古賀は自分より体力や足の遅い彼らが唯一の心の支えであったが、古賀は一年生の冬、喜原の関西弁がチーム中に広まった頃にバスケ部を辞めることを決意し、男子バスケットボール部はその日、古賀のためにミーティングが開かれた。辞めるなよとか、それは逃げているとかの意見があったが、真剣な空気の中、神立はその場で思いもよらない発言をした。 「おれも辞める」 男子バスケットボール部一同は一瞬、凍りついた。古賀が辞めるのはともかく、チームの将来を担うエースである神立の『辞めます発言』はみんなを混乱に陥れた。 「中学の時はこんなに練習をしなくても勝てた。だけど、今はどんなに練習をしても勝てない。チームは弱いし……、だから、辞めたいです」 神立に反論できない皆の中から一つの声が上がった。 「今は下手で、お前とかの足を引っ張ってるけど、お前が三年になる頃には、絶対におれがスタメンになって、このチームを、お前が満足できるほど強いチームにしたるわ」 喜原だった。喜原は小学校の頃にミニバスを少しかじり、中学では柔道部に入部するが、真剣にやらず、遊び呆けていたらしい。つまり、バスケに関して喜原は素人同然の上手さでの発言だったのである。 周囲はこの発言に驚いたが、喜原には自身があった。それは、センター、つまり一番背が高く、力強い人がやるポジションでは、三年生は大きく上手な人だが、二年生は技術はあっても背が低く、喜原は三年生から試合で早く使えるようにと熱い指導と期待があった。そして、喜原にとっては、練習は厳しい反面、楽しく、なにより退部の二字は彼の頭にはなかった。
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