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包帯で巻かれていて、左目は完全に塞がっていた。
ただ、あれだけ強引にあいつに抉られたのだ。
まず、失明は間違いないだろう。
俺は右手で、左目があるはずの場所をそっと触れる。
左目だけだ。
そう、自分に言い聞かせる。
五体満足なだけで、よしと思わなければやっていけない。
それにしても、と周りを見渡す。
まるで、ここは牢獄だ。
白以外見渡す限り何もない壁。
あるのは、ベットと鉄格子付きの窓。
辺り一面白だけと言うのは、逆に精神に異常を与えやすい。
こんな場所で数日過ごすと身が持たない、と俺はため息をついた。
そんな時、ドアががチャリと音を立てる。
そうして、扉がゆっくりと開いた。
「起きたの? 」
そう言って入って来たのは、1人の少女。
第1印象は、綺麗だった。
俺より遥かに小さいだろうと思われる身長や、今にも折れそうな手足から見ても、普通は可愛いとか思うのだろうが、彼女はそうは言えない、雰囲気を出していた。
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