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その少女の、明らかに俺を異物と認識している顔を見て、「起きてるよ」と慌てて言葉を返す。
だがもちろんのこと、言うのが遅すぎるわけで、彼女の機嫌は更に悪化してしまったようだ。
目を細め、「言うのが遅い」と短く言う。
もう一人はといえば、隣で初めて見た時と同じ、何を考えているか分からない目を俺へ向けていた。
“仕事”の関係上、こういうタイプは少しばかりやっかないなことはよく知っていた。
感情が読み取れないということは、その人の性格、癖、行動パターンが予測できないからだ。
俺は一息、静かに間を置いて話しかける。
「とりあえず、俺を助けてくれたのはあんたらだろ?一応感謝する。手当てのことに対しても同様にだ。だが、一つ聞きたいことがあるん―……」
「あなたの質問に答える前に、先に私の質問に答えてもらっていい? 」
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