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すると、まだなにか言おうとする女を制止し、初めて少女は口を開いた。
「……Angeって」
「……え?」
声が微かで聞き取りづらい。
しかし、その声は小さくても、しっかりとした芯のある声だった。
「なんで、あの子がAngeだって知ってるの? 」
はっとなり言葉を失う。
そう……昨日の夜にあの場所で俺が“あいつ”をAngeだと認識するすべは何もなかった。
そもそも、あの化け物を見てそれがAngeだと気付ける人がいるとしたら、それは『最初から見ていた』人だけのはずだ。
起きたばかりで、頭がまだ働いていなかったのが不毛だった。
返す言葉が見つからず、頭を掻いて誤魔化す。
「こら、誤魔化さないで」
女は口を尖らせる。
どうやら、少女の方もしっかりした性格らしいと俺は分析を重ねた。
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