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怖い、と思うには、感覚や神経も麻痺してしまっていた。
言うなれば、それは体の神経や器官が一瞬の内に滞り、息をするのさえ困難な状態。
否、視覚だけはしっかりとあり、ただこの情景を俺は嫌というばかりに見せつけられる。
足……だと思う。
千切れて、動かなくなった足。
人の一部、という物から完全に孤立した“それ”は異常なまでの存在感を、この静寂な暗闇の中、醸し出していた。
その足の横には、手。
そのまた横にあるのは……耳だろうか。
ほんの少し前まで動いていたその器官たちは、異常な形、場所に存在していた。
周りは、一面血の海。
狂った奴でなければ、今頃失神している所だろう。
そうして、すぐ前にいる“コイツ”に、この体の持ち主と同様の有り様にされてしまうに違いない。
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