prologue.

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悲鳴も上げられず、口からは掠れた息が吐き出される。 心臓の鼓動が、嫌味とばかりに聞こえてくる。 ああ、死ぬのだろうか? 俺は俺に問いかける。 四つん這いの状態で、また一つ、また一つと俺とそいつの距離は縮んでいく。 そうして、もはや俺が抵抗する気力さえなくなり、ふっと意識が飛ぼうとした刹那―…… ヒュッ― 目の前を通過する、その何とも言えない心地よい音。 泥々のこの場所、この空気を一瞬にして制したその音の正体は1本の矢だった。 その矢は見事なまでに、俺のすぐ目の前に来ていた“こいつ”の頭へと刺される。 「ギャアァァァァァァァァ!!!!」 まるで獣のような悲鳴を上げて倒れたそいつは、たった一発の矢でその身を立った。 頭から流れ出す血で、俺の服は朱色に染まってしまった。 .
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