居候との出会い

3/3
前へ
/12ページ
次へ
しかし、いつまでたってもくるはずの衝撃がこなくて、 私は、そっと、つぶっていた目を開いた。 心臓はかなりバクバクいっている。 でも、私の心配は杞憂で終わり、 それとは逆に、 「お前……誰だ?」 そんな言葉をかけてきた男に私は脱力した。 どろぼうが、いちいち名前なんて聞いてくるはずないもんね。 殺されはしなさそうだったので少しホッとした。 が、 そんな安心も男の一言でとんでいった。 「お前、誰だ?おれの部屋になんかようか?」 ………………ん? 「お、おれの部屋って…ここは私の部屋ですけど…」 さっき確認したから、それは確かのはず。 ここは、私の部屋。 「マジかよ…」 びっくりした顔でキョロキョロとあたりを見渡した、男がそういった。 「あの、部屋をお間違えになったとかではありませんか?」 「あー。そうかも知れないな。」 んー。と背伸びをしながら答えた男は私よりもちょっと年上だと思う。 「悪かったな。驚かしてしまって、おれは帰るよ、ありがとう。」 爽やかに笑った彼に、いいえ。お気をつけて。と言おうとした私の言葉は、止まってしまった。 ………だって、 この人、身体が透けてるんだもん! 「あ、あの!!」 私は自然と男を呼び止めていた。 「ん?」 「あ、あの…その、……幽霊とかではないですよね?」 「……は?」 男は、何言ってんだ? みたいな顔で私を見てきた。 そんな顔されても、透けてるもんは透けてる。 さっきまで、気がどうてんしていて気づかなかったけど、背後にあるはずのクローゼットが見えていた。 「あの、大変申し上げにくいのですが………か、身体が透けています…」 「あ、あぁ。そうだな……」 男もそれがわかったのか、 顔を引きつらせながらそう言った。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加