居候が始まった

1/2
前へ
/12ページ
次へ

居候が始まった

「とりあえず、何ができて何ができないか、それを調べてみましょう。」 「あぁ、そうだな。」 身体が透けていることがわかってから2人で話し合った結果こうなった。 「まず、記憶はありますか?」 「記憶?うーん……わからん。」 「なにもですか?」 「あ、1つだけわかることはある。」 「はい!なんですか?」 「名前だ。」 「お名前ですね。」 私はそう言いながら、メモ帳に『名前』とかいた。 「斎藤隼人(サイトウ ハヤト)だ。」 「隼人さん……」 聞いたことない名前だな… あ、でも知ってたらすぐに気づいたか。 「お前は?」 「え?」 「名前、なんていうんだ?」 「あ、ごめんなさい!私は相楽咲(サガラ サキ)といいます。」 「咲な!」 にこっと爽やかに笑った隼人さんに私は少し警戒心をといた。 「他に思い出せることとかありませんか?」 「あぁ…、そんだけだな。今のところ…」 「そうですか…。じゃあ、次です!物に触れられますか?」 「…やってみる!」 そう言って、隼人さんは机の上に置いてあった、リモコンに手を伸ばした。 でも、すぐに通り抜けてしまい、結局物に触ることはできなかった。 その後もたくさんのことを試してみて、分かったこともあった。 まず、ドアやカベは通り抜けることができる。 外に出ることもできる。 でも、他の人には隼人さんの姿は見えなかった。 見えるのはどうやら私だけのようだ。 「とりあえず、これだけ分かりましたね!」 メモ帳にわかったことを書き記しながら私はそう言った。 でも、疑問に思うこともいくつかあった。 それはなぜ、隼人さんは私の部屋にいたのか。 あと、なぜ身体が透けているか、 それが全くわからない。 「何か意味があるのでしょうか…?」 「どうだろうな…でも、おれが咲の部屋で寝ていたのは事実だし、おれと咲が出会ったのはやっぱり何らかの理由があるはずだと思うんだ。」 「やっぱり、そうですよね…」 「……あ、あのさ!」 「はい?」 突然声を大きくして、話してきた隼人さんに少しびっくりしながら、私は返事をした。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加