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居候の気持ち
咲の第一印象はお人よしだった。
そして今でも咲の印象はお人よしだ。
たかが数日の付き合いでもよくわかる。
見ず知らずの男に(しかも半透明)家においてくれと言われても嫌な顔せず、『力になりたい』なんてことを言ってきた。
咲には本当に感謝している。
今だってこんな大きい図書館に来ておれのこと調べようとしてくれている。
たくさんの本を眺めながら、何か自分の手がかりになりそうな本を探した。
「今のおれにはこれしかできねェからな…」
お、あの本なんか、いい感じだ。
『シャーロックホームズ』
………いやいや、自分に意味ないだろ。
寂しく一人ツッコミをしておれはその本を元の場所にしまった。
…………
…………………え?
元の場所にしまった?
………まじかよ、本…
手に持つことができた。
近くにあった本を触ってみる、
コツンと指に当たった。
持ち上げて、開けるかもやってみた
パラっと音をたててその本は開いた。
ちゃんと字も読めた、
……っ、手がかり、見つけた。
早く咲にいいてェな、
きっと、『えぇ!?本当に!?よかったです!一歩前進ですね、隼人さんっ!!』
なんて言って綺麗に笑ってくれるだろう。
パソコン室のほうを見てみるとうーん、うーんと悩んでる咲が見えた。
もし、咲がおれの手がかりを見つけてくれて、もう、咲に迷惑がかからなくなったら……
おれは、いったいどうするんだろう。
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