第1章:終わらない国へようこそ

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その街はいかにも洋風って感じでヨーロッパの町並みを思い起こさせる。 ここなら、普通の人とかいるかな? そう思いながら歩いていたが、街には一人も人が歩いていなかった。 街に並ぶ、店などもすべて閉まっていた。 ガラ~ンとしてて淋しい街。 とても人なんて住んでるようには見えなかった。 そんな中一つだけ開いてる店があった。 お菓子屋みたいだ。 あたしは恐る恐るそのお店に入ってみた。 「すいませーん、誰かいませんかー?」 何の反応もない。 もう一度、大声で叫ぶ。 「すいませーん!」 すると、ドタドタと店の奥にある階段を降りて来る音が聞こえた。 あたしは不覚にもその音に少しびくっと驚いてしまった。 階段を降りてきたのは一人の中年くらいの男だった。 「うるさいなぁ、なんだい?」 ちょっと怖そうだが、普通の人間っぽい。 「あ、あのぉ、この街ってなんで、どの店も開いてないんですか?」 男はあたしをギロっと睨み付けた。 「ちっ、客じゃねぇのかい。客じゃねぇなら帰んな」 男は舌打ちをすると、そのまま二階に戻ろうとした。 その態度の悪さに少しムッときたあたしは、思わず叫んでいた。 「買います!」 そう叫ぶと男はピタッと足を止め、再びあたしに近づいてきた。
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